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DDJ-GRV6 vs DDJ-FLX6-GT 徹底比較:買い替え・新規購入を検討中の方に違いを解説

Pioneer DJの4chコントローラー新製品「DDJ-GRV6」と、その前モデル「DDJ-FLX6-GT」の違いを徹底解説します。
DDJ-GRV6は「DDJ-FLX6-GT」の正式な後継機種と位置付けられており、2024年10月に発売されました。

一方、DDJ-FLX6-GTは2022年に登場した人気モデルDDJ-FLX6のマイナーチェンジ版(グラファイトカラー採用)です。

この記事では価格、サイズ・デザイン、対応ソフト、機能・操作性、入出力端子、エフェクト、音質などの項目ごとに両機種を比較し、それぞれのメリット・デメリット(良い点・惜しい点)を詳しく解説します。
最後に「結局どっちを選ぶべきか?」として、買い替えや初購入で迷っているDJユーザーへのおすすめポイントも整理します。

価格:大幅アップグレードの後継機か、手頃な前モデルか

DDJ-FLX6-GTは発売時のメーカー想定価格が約99,000円(税込)で、10万円を切る価格設定でした。
一方、後継モデルのDDJ-GRV6は約132,000円(税込)と約3割以上価格が上がっています。
この値上げには、新機能の搭載やビルドクオリティ向上といった要素が反映されていると言えます。

実際、海外レビューでも「GRV6は品質・デザイン・機能の向上によって価格上昇に見合う価値がある」と評価されています。
Groove CircuitやStems FXなど、従来になかったクリエイティブ機能が追加されたことが大きなポイントです。
ただ、その分DDJ-GRV6は初心者が気軽に手を出せる価格帯ではなくなったのも事実です。
あるユーザーからは「13万円超えは趣味で始めたばかりの人には痛い」といった声もあり、価格面で二の足を踏む方もいるようです。

一方、DDJ-FLX6-GTは発売から時間が経ち、生産完了品となったことで中古市場や在庫処分で手頃に入手できる可能性があります。
後述するように機能面ではGRV6に劣る部分もありますが、基本的な性能は十分で「安く入手できるならFLX6-GTでもまだまだ使える」という評価もあります。
予算を抑えたい方や、とりあえず4chコントローラーを試したいという方には、FLX6-GTの中古品は魅力的な選択肢かもしれません。

良い点 (価格)

◎DDJ-FLX6-GTの良い点

10万円前後と4ch対応機としては比較的安価で、コストパフォーマンスに優れる。
中古ならさらに低価格で入手可能な点も◎。

◎DDJ-GRV6の良い点

価格は上がったものの、新機能や高品位な作り込みによって値段相応の価値があると評価されている。
長期的に使える投資と考えれば妥当な価格設定。
 惜しい点 (価格)

▲DDJ-GRV6の惜しい点

価格が高いため、初心者や趣味程度のユーザーには手が出にくい。
また、本体が高機能化した分、適切な電源アダプタの用意など追加コストも発生し得る(※後述)。

▲DDJ-FLX6-GTの惜しい点

新型登場により公式には生産完了となっており、新品入手が難しい。
中古を探す手間や、保証がない点はデメリットと言える。

比較ポイント DDJ‑GRV6 DDJ‑FLX6‑GT
メーカー想定価格 (税込) 約132,000円 約99,000円
価格差 +約33,000円 (約33%)
メリット
  • 新機能・高品位設計で価格相応の価値
  • 長期使用を見込める投資感覚
  • 4ch機としては安価でコスパ◎
  • 中古流通ならさらにお得
惜しい点
  • 初心者にはハードルが高い価格帯
  • 別途電源など追加コスト発生の可能性
  • 生産完了で新品入手が困難
  • 保証や状態は中古依存

サイズ・デザイン:クラブ機材に近づいたGRV6と軽量コンパクトなFLX6-GT

サイズ感は両機種とも4chミドルクラスのDJコントローラーとしては標準的で、大きな違いはありません。
およその寸法は、DDJ-FLX6-GTが676×345×68 mm程度、DDJ-GRV6が674×353×68 mm程度で奥行きが若干GRV6の方が深くなっています。
ただ重量はGRV6が4.6 kgと大幅に増え、FLX6-GTの約3.8 kgより約0.8 kg重くなっています。
この重量増加は内部構造の強化によるもので、安定感と高い剛性に寄与しています。
その反面、持ち運びの負担はFLX6-GTに比べてやや増すでしょう。

デザイン面では、DDJ-GRV6はマットブラック基調の洗練されたルックスに仕上げられています。
筐体の質感も向上しており、ノブ(つまみ)類には適度な重さと抵抗感が追加されました。
EQやTRIM、FILTERのつまみもFLX4やFLX6より重みがあり、じっとりと回せるよう強化」されており、細かな操作がしやすくなっています。
全体的にクラブで使われるプロ機材(CDJやDJMシリーズ)に近い操作レイアウトを踏襲しており、ジョグホイール周囲にパフォーマンスパッドが配置されるなど、上位モデルを意識したデザインです。ジョグは直径206mmの大型サイズで、CDJ-3000と同等のサイズを採用しています。さらにGRV6では、そのジョグ上部に段差をつけてパッドを配置する「GROOVE CIRCUIT」専用エリアが設けられており、激しいスクラッチ中でも誤操作しにくい工夫がされています。

一方、DDJ-FLX6-GTはグラファイトカラー(濃灰色)のボディが特徴です。
これは従来のFLX6(無印モデル)のブラックに対し質感アップを図ったカラー変更で、見た目の高級感が増しています。
またFLX6-GTもCDJサイズの大径ジョグを搭載し、ピッチベンドやスクラッチ操作がスムーズに行えるとアピールされています。
しかし全体的な筐体素材は樹脂製で、質感としては高級モデルに比べるとプラスチック感が強いのも否めません。
実際にFLX6(GT)は「全体がややチープで軽い感じがする」という評価もあり、耐久性の面ではプロ仕様機材に一歩譲ります。
ただその分重量が軽く持ち運びやセッティングが楽というメリットもあります。
また、レイアウトは典型的なDJコントローラー形式で**パフォーマンスパッドはジョグの下部に配置されています。
大型ノブを備えたMerge FXダイヤルが目立つデザイン上のアクセントとなっていましたが、GRV6ではこれが廃止されたため、GRV6の外観はよりシンプルかつ「真面目な」印象になっています。

良い点 (サイズ・デザイン)

◎DDJ-GRV6の良い点

マットブラックの落ち着いたデザインでプロ機材らしい風格。剛性が高く重みのある筐体で安定感◎。
ジョグやノブの操作感も向上し、クラブ機材に近いレイアウトは現場志向のDJに好評。

◎DDJ-FLX6-GTの良い点

FLX6シリーズの美点であるコンパクトさと軽量さを維持しており、持ち運びしやすい。
グラファイトカラー採用で見た目もスタイリッシュになり、ジョグ径も大きく扱いやすい。
自宅や小規模イベントでの設置が気軽に行える。

惜しい点 (サイズ・デザイン)

▲DDJ-GRV6の惜しい点

重量が増したため携帯性はやや低下。
全体的に高品質とはいえ、筐体の多くは樹脂製で完全なプロ機材ほどの頑丈さはないとの指摘もあり(「まだプラスチック感は残る」との声)。
また、新機能のため操作子が増えており、初心者にはボタン類が多く感じるデザインかもしれません。

▲DDJ-FLX6-GTの惜しい点

質感がチープとの意見が散見され、特に激しい操作時に本体の軽さゆえの不安定さを感じる場合があります。
ジョグホイールも軽くスピンしやすい半面、スクラッチ時に慣れが必要との指摘もあり、「おもちゃっぽい」という辛口なレビューも一部にあります。

比較ポイント DDJ‑GRV6 DDJ‑FLX6‑GT
外形寸法 (W×D×H) 674 × 353 × 68 mm 676 × 345 × 68 mm
質量 約 4.6 kg 約 3.8 kg
デザイン特徴
  • マットブラック&クラブ機材ライク
  • ジョグ上部にGROOVE CIRCUIT パッド
  • グラファイトカラー採用
  • Merge FXダイヤルがアクセント
メリット
  • 剛性・操作感向上で安定感◎
  • 軽量&コンパクトで持ち運び容易
惜しい点
  • 携帯性やや低下
  • ボタン数が多く初心者には複雑
  • 筐体のチープ感・軽さによる不安定さ

対応ソフト:対応DJソフトとデバイスの互換性

両モデルともPioneer DJの「rekordbox」とSerato社の「Serato DJ Pro」に公式対応しており、購入後すぐにこれら主要DJアプリで4デッキのDJプレイを楽しむことができます。
rekordboxについてはハードウェア接続時にパフォーマンス機能がアンロックされ、追加ライセンス不要で使える仕様です。
Serato DJ Proについても、対応デバイスとしてプラグアンドプレイ可能ですが、ライセンス形態は製品に同梱の有無など地域によって異なる場合があるため要確認です(FLX6発売当初はSerato Proライセンスが付属していない地域もありましたが、基本的に「対応」と謳うモデルは即使用可能です)。

DDJ-FLX6-GTの特徴として、rekordboxとSeratoに加えて「VirtualDJ」にも公式対応していた点が挙げられます。
FLX6-GTはマルチアプリ対応4chコントローラーと位置づけられ、実質主要なDJソフト3種で利用可能でした。
VirtualDJユーザーにとって、公式マッピングが用意されているのは安心材料であり、ソフトの好みに左右されず機材を選べる点はメリットでした。

一方、DDJ-GRV6では公式にVirtualDJ対応が明記されていません。
現状対応ソフトはrekordbox(Mac/Windows版およびiOS/Android版)とSerato DJ Proのみとなっています。
もっとも、VirtualDJ側で新製品への対応アップデートが提供されれば使用自体は可能になる可能性がありますが、少なくともメーカーとして推奨する組み合わせからは外れています。

その代わりDDJ-GRV6はスマートフォン・タブレットでの利用に公式対応した点が新しい特徴です。
rekordbox for iOS/AndroidアプリとUSB接続することで、PCがなくてもiPhoneやiPad、Androidデバイス上で2デッキ分のコントロールが可能です(CH1/2が利用可)。
これは「いつでもどこでもDJ」ができる環境を提供するもので、自宅PCで準備した楽曲をスマホに同期して持ち出し、そのまま現地でコントローラーに繋いでプレイするといった使い方もできます。
FLX6-GTにはスマホ対応機能がないため、モバイルデバイスで手軽に練習・プレイしたい場合はGRV6が有利です。

また、GRV6はUSB端子を2系統備えているため(後述)、2台のPCを同時接続してDJ交代時にスムーズにバトンタッチしたり、一方のUSBにPC、一方にスマホを繋いでセットアップすることも可能です
対するFLX6-GTはUSB端子1つで1台のPCにしか接続できないため、交代時は一度接続を差し替える必要がありました。
この違いも実践環境での使い勝手に影響します。

良い点 (対応ソフト)

◎共通の良い点

rekordbox(最新のVer.7まで)とSerato DJ Proの両対応で、主要DJソフトを自在に選べる。
一つのコントローラーで複数のソフトを使い比べたり、将来的にソフトを乗り換えてもハードを流用できる柔軟性があります。

◎DDJ-FLX6-GTの良い点

VirtualDJにも公式対応しており、幅広いDJソフトウェア環境で利用可能。
既にVirtualDJに慣れているユーザーにとって設定が容易なのは利点です。

◎DDJ-GRV6の良い点

スマホ・タブレットDJに対応(rekordboxモバイル)しており、PCがなくてもプレイ可能な場面が広がりました。
ちょっとした集まりでスマホ+GRV6だけ持参すればDJできる手軽さは魅力。
またUSB端子2基により2台同時接続が可能なため、DJの交替やバックアップに強い。

惜しい点 (対応ソフト)

▲DDJ-FLX6-GTの惜しい点

スマホ/タブレットへの対応がないため、必ずPC/Macが必要。
モバイル環境での手軽な利用という点では一歩劣ります。
また、今後ソフトのアップデートでStems機能(後述)が主流になると、FLX6ではハード側に専用操作がないため時代遅れ感が出る懸念もあります。

▲DDJ-GRV6の惜しい点

現状VirtualDJの公式サポートが無い点は残念。
愛用者は非公式マッピング等で自己対応する必要があります。
またrekordbox for iOS/Android利用時は2ch限定など一部機能制限があります。
加えて、接続環境が高度になる分、初心者には設定がやや複雑に感じられる可能性があります。

比較ポイント DDJ‑GRV6 DDJ‑FLX6‑GT
公式対応 rekordbox (PC / iOS / Android) / Serato DJ Pro rekordbox / Serato DJ Pro / VirtualDJ
モバイル接続 ◎(USB‑Cでスマホ/タブレット可)
USBポート数 2 基 (Type‑C ×2) 1 基 (Type‑B)
メリット
  • スマホDJ・二重接続に対応
  • VirtualDJ公式マッピング済み
惜しい点
  • 現状VirtualDJ公式サポートなし
  • PC必須・スマホ非対応

機能・操作性:新機能満載のGRV6とユニーク機能搭載のFLX6-GT

DDJ-GRV6最大のトピックは、何と言っても新搭載の「GROOVE CIRCUIT」機能でしょう。
これは楽曲のドラムパートを自在に抽出・入れ替え・エフェクト処理できる革新的な機能で、ボタン操作だけで即興リミックスを可能にするものです。
具体的には、再生中の曲からドラムスパートだけを抜き取り、ワンボタンで別のドラムループに差し替えたり(Drum Swap)、ドラムだけのロールやトランス効果をかけたり(Drum Roll/Trans)、ドラム音だけ抜き出して後で他の曲にドロップしたり(Capture)といった操作が可能です。
これにより、その場でビートを差し替えながら曲調を変えるライブリミックスや、別曲のビートを組み合わせたマッシュアップ的プレイが簡単に行えます。
DJ中にリアルタイムで曲を再構築し、独自の音楽体験を提供できる」と公式も謳っており、創造性を刺激する機能となっています。

また、GRV6ではSerato DJ Pro利用時に「Stems FX」機能が扱えるようになっています。
Stems(ステム)とは楽曲を「ボーカル・ドラム・ベース・メロディ」のように要素ごとに分離する技術ですが、Seratoでは近年このStemsを利用したエフェクト機能が追加されました。
GRV6ではハードウェアの一部ボタンによりStems FXをトリガーでき、例えばボーカルだけエコーでフェードアウトさせたり、ドラムだけロールさせたりと、各パートごとに異なるエフェクトを同時適用できます。付属の専用オーバーレイシートをコントローラーに貼ることで、どのボタンがどのStemに対応するか一目で分かる工夫もされています。
Seratoの高精度なステム分離技術により「音質も良好でユニークな演出が可能」と評価されており、こちらも新時代のDJプレイを支える注目機能です。

DDJ-FLX6-GT(およびFLX6系)にもユニークな機能があります。
代表的なのが「MERGE FX(マージエフェクト)」です。
これは1つの大きなノブを回すだけで複数のエフェクトやサンプルを組み合わせたビルドアップを発生させ、異なるジャンル・BPMの曲同士でも強引かつダイナミックに繋げてしまう機能です。
一言で言えば異種曲MIX専用の必殺技のようなもので、ノブをひねると効果音やピッチアップ、フィルター等が一気に掛かり盛り上がって、離すとドロップ(サンプル音やエフェクト解除)と同時に次の曲に切り替わる…という派手な演出ができます。
ジャンルレスなDJセットを志向する人や、瞬間的にフロアの雰囲気を変えたい場面で重宝する機能で、「全く異なるジャンル、BPM、KEYの楽曲同士でもダイナミックなミックスを実現」できると紹介されています。
もう一つのFLX6特有機能が「JOG CUTTER(ジョグカッター)」です。
ジョグを回すだけで自動的にスクラッチ音が生成され、まるでプロがクロスフェーダーを切りながらスクラッチしているかのような効果を得られるというものです。
スクラッチのテクニックがなくてもジョグ操作でそれっぽい音を出せるため、初心者がプレイにアクセントをつけるには面白い機能です。

こうした特殊機能以外の基本的な操作インターフェースも比較してみましょう。
ミキサー部はいずれも4チャンネルあり、各チャンネルに3バンドEQとFILTERノブ、Trim(ゲイン)ノブが配置されています。
GRV6ではこれらノブ類のトルク(回した感触)が強化されており、繊細なコントロールがしやすく改良されています。
またGRV6のミキサー中央にはBeat FXのコントロールセクションが追加されました。
CH SELECTボタンでエフェクトをかけるチャンネルを選び、BEAT FXノブでエフェクト種類を切り替え、レベル/深さも調整できるようになっています。
これはクラブのDJMシリーズに近い操作体系で、ディレイやエコー、ワッシュアウトなど多彩なエフェクトを直感的に扱えます。
一方FLX6-GTには専用のエフェクトセクションはなく、エフェクトはソフト側の画面操作かパフォーマンスパッド(Pad FX)で行う形でした。
GRV6は物理コントロールが充実したことで、PC画面に触れずとも本体だけで様々な操作が完結しやすくなっています。

さらに、GRV6には新発想の「SMART ROTARY SELECTOR」ノブがあります。
これは楽曲ブラウズ用のノブですが、通常の回転・プッシュに加え上下左右にノブ自体を倒す操作が可能で、ライブラリ内の移動を高速化できます。
上下倒しでプレイリスト間を大きく移動、左右倒しでフォルダ階層の移動、回転で選曲、押し込みでロード、といった具合で、大量の楽曲を扱うDJでもストレスなく選曲できる工夫です。
加えて「DISCOVER」ボタンも新搭載され、押すと現在再生中の曲に関連したおすすめ曲をソフト上に表示してくれます。
これはAIを活用した機能で、「次に何をかけよう?」と迷った時に新たなアイデアを提供してくれる頼もしいガイドとなります。
FLX6-GTにはこうしたブラウズ支援機能は無かったため、GRV6は選曲面のアシスト機能も強化されたといえます。

Deck側の操作に目を向けると、ジョグホイールやピッチフェーダー、パフォーマンスパッドは両機種とも装備しています。
ジョグは前述の通りどちらも大径でスクラッチ可能ですが、FLX6系のジョグはかなり軽く回る調整で「少し軽すぎる」という声もありました(慣れれば問題ありませんが、人によっては繊細さに欠けると感じることも)。
GRV6のジョグに関しては重量アップもあってか適度な抵抗感が感じられ、「しっかりした手応えでスクラッチしやすい」という意見が見られます(公式に大きな改善点として触れられてはいませんが、全体剛性の向上がジョグ操作感にも寄与している可能性があります)。
ピッチフェーダーはいずれもロングサイズではなく中くらいの長さで、精密なピッチ合わせはプロ機材に比べるとやや気を遣います。
しかし用途上はシンク機能も併用する場面が多いでしょうから、大きな問題ではないでしょう。

最後に両モデル共通して外部入力の限定について触れておきます。
どちらも基本的にPC接続専用のコントローラーであり、音楽プレーヤーやターンテーブルなど外部ソースをミキサーに入力する機能はありません(マイク入力を除く)。
例えばDDJ-800ではライン入力を備えておりスタンドアロンミキサー的に使えましたが、FLX6/GRV6はあくまでPC上の楽曲再生を操作するための機材です。
この点はエントリー~ミドルクラスのDJコントローラーとして割り切られている部分で、外部機器の音を混ぜたりDVS(デジタルバイナルシステム)を使ったりはできないことに注意が必要です。

良い点 (機能・操作性)

◎DDJ-GRV6の良い点

Groove CircuitやStems FXなど新機能が非常に充実し、ライブリミックスや高度な演出が可能。
プロ機材譲りのレイアウトで操作体系が洗練されており、物理コントローラーだけで直感的にプレイできる。
Smart RotaryやDiscover機能で選曲面もサポートされ、実践的で痒い所に手が届く作り。

◎DDJ-FLX6-GTの良い点

Merge FXによるダイナミックなジャンル跨ぎMIXが手軽に楽しめ、創意工夫次第で派手なプレイができる。
ジョグカッターも初心者にとってはスクラッチ風の音を簡単に出せる遊び要素として好評。
シンプルな操作体系でボタンが少なく、基本的なミックスに集中しやすい。
4デッキコントロールやパッド演奏など、必要十分な機能は一通り備えている。

 惜しい点 (機能・操作性)

▲DDJ-GRV6の惜しい点

新機能はソフト側の性能に依存する面もあり、例えばrekordboxのドラム抽出音質は完璧ではないため「現状では音質面でやや荒さがある」という指摘もあります。
また高機能ゆえに初心者にはオーバースペック気味で、「機能が多すぎて扱いきれないかも」と尻込みする声も。
外部入力がマイク以外無い点は従来通り弱点で、オーディオインターフェースとしての拡張性に欠けます。

▲DDJ-FLX6-GTの惜しい点

Merge FXやJog Cutterは一発芸的な要素が強く、上級者からは「結局あまり使わない」「音が不自然でチープ」と厳しい評価もあります。
本体の作りが簡素なため、フェーダー類の操作感やジョグの軽さに物足りなさを感じる可能性があります。
ピッチフェーダーが短めで微調整しづらい点も、人によっては不満に感じるでしょう。

比較ポイント DDJ‑GRV6 DDJ‑FLX6‑GT
主要新機能
  • GROOVE CIRCUIT
  • Stems FX (Serato)
  • Smart Rotary / Discover
  • Beat FXセクション
  • Merge FX
  • Jog Cutter
操作レイアウト クラブ機材準拠(ジョグ上部パッド) 一般的コントローラ配置(ジョグ下部パッド)
メリット
  • ライブリミックス性能が大幅向上
  • 物理コントロール豊富で画面レス操作
  • シンプル操作で初心者向け
  • 派手なエフェクトで盛り上げ◎
惜しい点
  • 高機能ゆえ習熟に時間
  • 一発芸機能が多く応用性に欠ける

入出力:強化された出力端子とデュアルUSB (GRV6) vs シンプルな接続性 (FLX6-GT)

DDJ-GRV6の入出力端子構成は、前モデルから大きな改良が加えられています。
まずマスター出力はバランス出力(1/4インチTRSジャック)とアンバランス出力(RCAピン)の2系統を搭載しました。
プロのPA機器やクラブのミキサーに直接繋ぐ際はノイズに強いバランス出力が使え、自宅のスピーカーや簡易PAには従来通りRCA出力も使えるというように、シチュエーションに応じて使い分けができます。
対してDDJ-FLX6-GTのマスター出力はRCAアンバランス出力のみで、長いケーブルを引き回す際などはノイズ混入のリスクがありました。
両機種ともブース出力を別途備えており(RCAピン)、モニタースピーカーや録音機器にマスターとは独立した音量で出力可能です。
ヘッドホン端子も標準ジャック(6.3mm)とミニジャック(3.5mm)の2種類を搭載しており、これはFLX6系・GRV6共通です。
複数DJが交代でプレイする際にヘッドホンを差し替える手間が省けたり、手持ちのヘッドホン端子種類を問わず接続できるのは便利なポイントです。

入力端子については、両機種ともマイク入力が1系統(標準1/4”TRSジャック)のみとなります。
ボーカル用マイクやMC用途には対応していますが、ライン入力端子は無いため、外部オーディオプレーヤーを直接つないだり、他のDJ機材の音をミキサー経由で出力することはできません。
ライブ配信時にゲーム音声や別PCの音を混ぜる、といった使い方は想定外であり、その点はエントリー~中級コントローラー相応の割り切りです。

大きな違いとして、DDJ-GRV6はUSB端子を2基(USB Type-C x 2)搭載しているのに対し、DDJ-FLX6-GTはUSB端子1基(USB Type-B)のみです。
GRV6ではPC/Macやモバイル端末を2台同時に接続でき、DJ交代時に両方の機器を挿しておいてシームレスにバトンタッチしたり、片方を予備バックアップとして待機させることも可能です。
これはクラブ常設機材(DJMミキサー+複数CDJ)のように複数ソースを行き来できる柔軟性をもたらします。
FLX6-GTの場合、一度に接続できるPCは1台だけなので、交代時はUSBケーブルを抜き差しする必要があり、その間は音を止めるかアナログミキサー等を介す必要がありました。
したがって、複数DJでの利用シーンではGRV6のデュアルUSBが大きなアドバンテージとなります。

電源供給面では、FLX6-GTはUSBバスパワー駆動(PCからの給電)で動作し、別途電源アダプターを必要としない手軽さがありました。
GRV6も基本的にはUSBバスパワー対応ですが、その高機能ゆえに必要とする電力が大きく、接続方法によっては追加の電源が必要になる点に注意が必要です。
具体的には、付属のUSB-CケーブルでUSB-Cポート同士を繋いだ場合はPC側が十分な電力を供給できればバスパワー動作しますが、PC側がUSB-Aしかない場合はUSBハブ的に使うアダプター経由となり、この場合は別途USB電源アダプター(DC 9V/3A以上)を繋がないと動作が安定しません
実質、ノートPC単体で駆動させるにはPCの対応ポート次第ということになり、場合によってはPD対応の充電器を用意する必要が出ます。
電源の確保に少し苦労した」というユーザーレビューもあるほどで、ここはGRV6の惜しい点と言えます。
一方FLX6-GTはシンプルにUSBケーブル1本挿すだけで動いたため、その利便性では勝っていました。

まとめると、GRV6は出力まわりとUSB接続まわりが強化されプロユースに耐える仕様になった反面、FLX6-GTは必要最小限の入出力でシンプルに扱えるという違いがあります。

良い点 (入出力)

◎DDJ-GRV6の良い点

バランス出力(TRS)を装備し、本格的なPAシステム接続でもクリアで安定した音質を確保可能。
加えてUSB端子2つで2台同時接続できるため、DJ交代や機材トラブル時のバックアップがスムーズ。
ヘッドホン端子2系統も含め、プロ現場で求められる端子を一通り網羅。

◎DDJ-FLX6-GTの良い点

シンプルなUSB一発接続で動作し、余計な電源アダプターが不要(バスパワー駆動)。
入出力構成が簡潔なため接続ミスが少なく、セッティングが容易。

ブースアウトやヘッドホン2系統など基本的な端子は備えており、イベントでのモニタリングやDJ交代にも一応対応できる。

 惜しい点 (入出力)

▲DDJ-GRV6の惜しい点

電源周りがやや複雑で、接続状況によっては別途電源アダプターが必要になる。
また高機能化に伴い端子類が増えたぶん、初級者には接続のハードルが上がる恐れも。
マイク入力以外のライン入力が無い点はFLX6同様で、外部音源を混ぜられない制約は残る。

▲DDJ-FLX6-GTの惜しい点

マスター出力がRCAアンバランスのみのため、大音量環境ではノイズや音質劣化のリスクがある。
またUSB端子が1つしかなく、複数デバイスを行き来する用途には不向き。

比較ポイント DDJ‑GRV6 DDJ‑FLX6‑GT
マスター出力 TRS (バランス) + RCA RCA のみ
USBポート USB‑C ×2 (デュアル) USB‑B ×1
電源 USBバスパワー/外部アダプター (要件あり) USBバスパワーのみ
メリット
  • プロPA対応バランス出力
  • 2台同時接続でスムーズ交代
  • ケーブル1本で簡単セットアップ
惜しい点
  • 接続・電源構成が複雑
  • ノイズ耐性に不安 (RCA)

マイク入力も1系統のみで、デュエットや司会進行を複数人で行う場合には対応しきれない。

エフェクト性能:GRV6は充実のエフェクト群、FLX6-GTは簡易マクロFX搭載

前述の機能面と重複する部分もありますが、エフェクト機能について改めて比較します。
DDJ-GRV6はハードウェア上にBeat FXセクションを備え、各チャンネルまたはマスターに対して様々なエフェクトをかける操作ができます。
これは従来上位モデルのミキサーにしか無かったもので、たとえばエコー、リバーブ、フランジャー、ディレイ、ビートスライサー等、DJプレイで定番のビート同期エフェクトをボタン一つでかけられます。
エフェクトはrekordboxやSeratoソフト側の機能を動作させる形ですが、GRV6の物理インターフェースから直接操作できるため、まるでハードエフェクターのような感覚で扱えます。
DJM-A9から受け継がれたBeat FXを搭載」と公式にある通り、クラブミキサーさながらの本格的なエフェクトワークが可能になっています。

さらにGRV6では各チャンネルのサウンドカラーFX(カラオケ音響などでいうところのエフェクトフィルター)も強化されています。
通常、DJコントローラーでは各チャンネルに1つずつノブがあり、それがフィルター(ローパス/ハイパス)として機能するのが一般的ですが、
GRV6ではフィルター以外の効果(ノイズ、ジェット、エコー等)に切り替えて利用することも可能です。
これはrekordboxの「パッドFX/サウンドカラーFX設定」で変更でき、ハード側にもインジケーターがあります。
Digital DJ Tipsのレビューでも「このクラスのコントローラーで初めて各チャンネルフィルターを他の多彩なエフェクトに切り替えられる実装になった」と評価されていました。
要するに、GRV6一台で「パッドFX」「Beat FX」「サウンドカラーFX」をフルに駆使した複雑なエフェクト表現ができるわけです。

対照的にDDJ-FLX6-GTでは、ハードウェア独自のエフェクト機能として前述のMerge FXが目玉でした。
Merge FXは一つのノブで複数のエフェクトを同時に扱うマクロエフェクト機能で、手軽ではあるものの、細かな制御よりワンパターンの盛り上げ演出に向いたものでした。
面白いし楽しい機能だが、実用性は高くない」との声もあり、実際プロの現場で多用されるケースは少なかったようです。
またFLX6にはジョグカッターによるスクラッチエフェクトもありましたが、これもあくまで遊び的要素です。
それ以外は各チャンネルのフィルターノブ(ローパス/ハイパス)と、Pad FXによるソフトウェアエフェクト触発が基本となります。
Pad FXではエコーやリバーブ、トランス、フランジャーなどをパッドでON/OFFできますが、細かな調整はソフト側で行う必要があり、エフェクト表現の自由度はGRV6と比べると限定的です。

GRV6独自のエフェクト機能としては、Groove Circuitを使ったドラム専用エフェクトも挙げられます。
Drum Roll/Transボタンでドラムパートだけロール(反復)させたり、Trans(断続的ミュート)をかけたり、Releaseボタンでドラムパートにブレイクダウン用の効果音を加えてフェードアウトさせたり、極めつけにCapture機能でドラムパートを抜き取って別プレイに活用するなど、ドラムに特化した多彩なエフェクト操作ができます。
これらはrekordbox使用時のみ有効ですが、Serato使用時はStems FXとして別のエフェクト活用に切り替わります。
どちらにせよ、GRV6ではエフェクト面の拡張性が格段に広がっていることがお分かりいただけるでしょう。

音質面の話題になりますが、エフェクト使用時のサウンドクオリティはソフトウェア依存とはいえ、SeratoのStems FXについては「さすがトップクラスのStems抽出精度だけあり、効果音も含めサウンドが良い」との評価があります。
rekordboxの方はStems処理がまだ改善の余地ありとされ、Groove Circuit利用時にエフェクトを深くかけすぎると多少音荒れする可能性があります。
この辺りはソフトのアップデートで今後向上していく部分でしょう。

良い点 (エフェクト)

◎DDJ-GRV6の良い点
Beat FXセクション搭載で、多彩なビート同期エフェクトを自在に扱える。
各チャンネルのフィルターを含むカラーFXも充実し、プロ機材並みのエフェクト表現が可能。
さらにGroove CircuitやStems FXにより、ドラムやボーカルなど特定パートへのエフェクト演出という新境地も開拓。
総じてエフェクト面の自由度・実用性が高い。

◎DDJ-FLX6-GTの良い点

Merge FXのおかげで、複数エフェクトの組み合わせによる派手なビルドアップをワンアクションで実行できる。
難しい操作なしに盛り上げ効果を出せるため、初心者でも簡単にフロアを沸かせる演出が可能。
また基本的なPad FXも備え、定番のエコーやフィルター効果で曲間をつないだりと必要最低限のエフェクトは使える。

惜しい点 (エフェクト)

▲DDJ-GRV6の惜しい点

Rekordbox使用時のGroove Circuitではエフェクト処理時の音質に改善の余地があり、特にドラム分離の精度が現状では完璧ではないためクリアさを求めると少し物足りない場合もあります。
また、機能が多岐にわたる分使いこなしには練習が必要で、初心者にはとっつきづらい面も。
エフェクトを駆使しないDJにとっては宝の持ち腐れになる可能性もあります。

▲DDJ-FLX6-GTの惜しい点

Merge FXは演出が大味で細かな調整ができず、一部ユーザーからは「実際の現場で使うには派手すぎる」「ネタとしては良いが常用はしない」とネガティブな意見もあります。
ジョグカッターも音が機械的で不自然になりがちで、「チープに聞こえる」との指摘がありました。
エフェクト全般の細やかさでは上位モデルやGRV6に劣り、凝ったプレイには向きません。

比較ポイント DDJ‑GRV6 DDJ‑FLX6‑GT
ハードウェア FX Beat FXセクション/サウンドカラーFX拡張 Merge FX (マクロ)/Pad FX
特殊 FX Groove Circuit (ドラム抽出&FX)/Stems FX Jog Cutter (自動スクラッチ)
メリット
  • クラブミキサー並みの多彩さ
  • パート単位のFXで創造性◎
  • ワンノブで派手な盛り上げ演出
惜しい点
  • rekordbox側の音質まだ改善余地
  • 細かな調整ができず応用性△

音質:出力スペックと実用上のサウンドクオリティ

DJコントローラーにおける音質は主に内蔵オーディオインターフェース(サウンドカード)の性能と出力端子仕様に依存します。
スペック上は、DDJ-FLX6-GTもDDJ-GRV6も24bit/44.1kHz対応のオーディオインターフェースを内蔵し、周波数特性20Hz~20kHz、S/N比104dB程度、全高調波歪率0.003~0.004%といった数値でほぼ同等です。
これは一般的なクラブPAシステムで十分高音質と言えるレベルであり、実際FLX6-GTも多くの現場や配信で問題なく使われてきました

DDJ-GRV6の音質面での利点は、先述のバランス出力によりノイズ耐性が向上したことです。
長いケーブルでスピーカーへ接続する際や、グランドループによるハムノイズの心配がある環境でも、バランス接続ならノイズを打ち消すことができます。
特に大規模会場ではRCA出力だとノイズが乗りやすいため、TRS出力が使えるGRV6は安心感があります。
スペック上はS/N比104dBでFLX6-GTと同じですが、実環境ではノイズフロアの低さという意味で一歩リードすると言えるでしょう。

また、GRV6は筐体設計の見直しにより音響面のシールドや回路設計が強化されている可能性があります。
公式が謳っているわけではありませんが、重量増や電源要件の増加から推測すると、内部により高品質なコンポーネントや二重電源構造(バスパワーと外部電源)などを採用していると考えられます。
こうした改良は音の安定供給やヘッドルームの確保に寄与するでしょう。
実際、「どっしりした筐体で高出力でも安定感がある」という声もあり、信頼感につながっています。

一方、DDJ-FLX6-GTの音質も同クラスとしては十分良好です。
特に大きな不満の声はなく、「イベント時の転換やモニタリング環境もしっかり確保できる」出力仕様との評価があります。
ただ、高級モデルのような96kHz対応やより高S/N比(例えばDDJ-800は111dB)といった余裕あるスペックではないため、音圧を極限まで追求する用途には若干不利かもしれません。
しかしながら、一般的なクラブミュージックの再生において可聴上違いが出ることは少ないでしょう。

両機種とも、マスター音量や各チャンネルのゲイン調整を適切に行えばクリアで迫力あるサウンドを出せます。
音質そのものよりも、エフェクト使用時の音作りやミックスバランスの方が仕上がりに影響するレベルと言えます。
そういう意味では、GRV6で追加されたエフェクト類を駆使する際に音量・音質管理をしっかり行えば、よりメリハリのある音演出が可能になりますし、FLX6-GTでも丁寧なゲインセッティングを心がければ十分に良い音でプレイできます。

まとめとして、純粋な音質スペックは大差なく、実用上どちらも満足のいく音を提供します。
ただし、GRV6は出力端子の強化により安心感が増し、大音量下での音抜けやノイズ面で優位、FLX6-GTも適切に使えば問題ないが、将来的なStems機能の活用などではGRV6の方が音質的恩恵を受けやすいかもしれません(各パート分離の精度向上など)。

良い点 (音質)

◎共通の良い点

24bit対応の高品位サウンドカード内蔵で、クリアで力強いサウンドを出力可能。
適切なゲイン設定で歪みの少ない音を保て、クラブやPAシステムでも十分通用する音質。
ヘッドホン出力も2系統備え充分な音量が確保できる。

◎DDJ-GRV6の良い点

バランス出力の採用によりノイズ耐性が向上し、大音量・長距離接続でも音質劣化が少ない。
重厚な作り込みで電源供給も安定しており、高出力時の余裕が感じられる。
Serato Stems利用時も各パートの音がクリアで、新機能を活かしたミキシングでも音の輪郭が保ちやすい。

◎DDJ-FLX6-GTの良い点

標準的な音質スペックを確保しており、特別な調整なしでも素直な音が出る。
従来機(FLX6)からの評判でも「出音は悪くない」とされており、価格帯を考えれば充分満足できるクオリティ。
シンプルな構造ゆえ音の遅延やトラブルも少なく扱いやすい。

惜しい点 (音質)

▲共通の惜しい点

外部入力が無いためオーディオハブとしての汎用性は低い。
例えば高音質な他機材の音源を通す用途には使えず、あくまで自身の再生音のみ。
ハード的なD/A変換スペックも44.1kHz止まりで、ハイレゾ音源の恩恵などは特にない。

▲DDJ-GRV6の惜しい点

スペック上はFLX6-GTと同等で、音質そのものの飛躍的向上は見られない。
S/N比や解像度に大差が無いため、「価格上昇の割に音質面の数字は据え置き」と感じる向きもあるかもしれない。
ただし実運用では前述の通りメリットがあり、この点はスペック表だけでは測れない部分です。

▲DDJ-FLX6-GTの惜しい点

RCAアンバランス接続では環境ノイズの影響を受けやすいため、大音量・高出力時にわずかなノイズが乗るリスクがある。
プロユース機器と比べると音の厚みや余裕の部分でわずかに劣る可能性はあるが、よほど高性能なスピーカー環境でない限り違いを感じることは少ないでしょう。

比較ポイント DDJ‑GRV6 DDJ‑FLX6‑GT
オーディオ仕様 24‑bit / 44.1 kHz ・ S/N 約104 dB (共通)
音質上の強み
  • TRSバランス出力でノイズ耐性↑
  • 重厚筐体で電源安定
  • シンプル構造で遅延/トラブル少
惜しい点
  • スペック値はFLX6‑GTと同等
  • アンバランス接続でノイズリスク

結局どっちを選ぶべきか? – 買い替え・新規購入の判断ポイント

ここまでDDJ-GRV6とDDJ-FLX6-GTの違いを詳細に見てきました。
それでは、最終的にどちらを選ぶべきかを整理しましょう。

すでにFLX6-GT(またはFLX6)をお持ちの方で、買い替えを検討している場合

POINTDDJ-GRV6への買い替えは、よりクリエイティブなDJプレイに挑戦したいかどうかが大きなポイントです。

GRV6はGroove CircuitやStems FXといった新機能によってライブリミックスや高度なエフェクト表現が可能になり、まさに「次世代」のプレイスタイルに対応したコントローラーです。
もしあなたが現行のFLX6-GTに物足りなさを感じていたり、クラブ機材に近い操作感でさらなるスキルアップを図りたいのであれば、GRV6は期待を裏切らないでしょう。
長い目で見れば追加投資する価値がある」とする意見もある通り、今後数年メイン機として使っていけるポテンシャルがあります。
特にDJを本格的に続けていく意思がある中級者以上の方にはGRV6がおすすめです。

逆に、現在のFLX6-GTで満足しており、特殊機能もあまり使っていないという場合は、無理に買い替えなくても良いでしょう。
FLX6-GT自体、rekordbox/Serato両対応で4chミックスも可能な優秀なコントローラーです。
とりわけ自宅練習や配信中心であれば、GRV6の新機能が無くても困る場面は少ないかもしれません。
予算に余裕が無い場合や、今の機材で習熟を深めたい場合はFLX6-GTを使い続ける選択も十分ありです。
FLX6は安価で必要十分、GRV6の機能は限定的な環境下では活かしきれない」との声もあります。
まずは現在の機材で自分がやりたいことが実現できているか振り返り、不足を感じる部分がGRV6で解消できるか検討してみてください。

これから新規購入を検討している場合

予算に問題がなければ、基本的にはDDJ-GRV6を選ぶのが今後を見据えて安心です。
最新モデルだけあり機能・性能とも充実しており、特にこれからDJを始める方や中級者が長く使っていくには適しています。
最初は機能が多く感じても、使いこなすにつれてその恩恵を受けられるでしょう。
「本気でDJを極めたい人にはかなりおすすめ」と言われるように、将来的な成長に機材が応えてくれる余裕があります。
クラブ志向で将来プロ機材に移行したい人にとっても、GRV6のレイアウトは良い練習環境になるはずです。

一方、できるだけ出費を抑えたい初心者や趣味ユーザーで、なおかつ運良くFLX6-GTを安く入手できる機会があるならそれも選択肢です。
定価ベースで3万円以上の差額は大きく、「その差額を楽曲購入や他の機材に充てたい」という判断も合理的です。
FLX6-GTは派手な機能はあるものの基本設計は扱いやすく、まずはDJの基礎を学ぶには十分です。
例えば「自分はまずMIXの基礎に集中したい、凝ったリミックスは当面しない」という方にはFLX6-GTでも不足はないでしょう。ただし今後公式サポートや在庫が少なくなることも考慮し、購入するなら信頼できるショップや程度の良い中古を選ぶようにしてください。

また、使用するDJソフトやスタイルの好みも選択のヒントになります。
VirtualDJをメインで使いたい場合はFLX6-GTの方が安心ですし、逆にスマホアプリで手軽にプレイしたいならGRV6一択です。
持ち運び頻度が高くクラブ以外のイベントによく持ち出すなら軽量なFLX6-GTが助かるかもしれません。
自宅固定で腰を据えて練習するなら重厚なGRV6でも問題ないでしょう。
このように、ライフスタイルやプレイスタイルに合わせて最適な方を選ぶことが大切です。

総評として、

Tips多くのレビューが指摘するように「本気度」が一つの分かれ目です。

DDJ-GRV6は値段相応に機能・性能が充実した“長く付き合える”機材で、創造的なDJプレイを追求したい人に向いています。
将来的にクラブ出演を目指す人や、現行の機材に限界を感じ始めた人には最適でしょう。
DDJ-FLX6-GTはコスパ良く必要十分な機能を備えた“ステップアップ用”機材で、DJ入門~中級初期の段階にマッチします。
「ひとまず4chコントローラーで色々試したい」「予算内でベストな選択をしたい」という人にフィットします。
ただし生産完了モデルなので新品入手性が低い点だけ注意です。

最後に、島村楽器のスタッフレビューの言葉を借りれば「買うかどうか迷っている人は、自分のDJスキルやこれからどんなDJになりたいかをよく考えてみるといい」でしょう。
新機種GRV6の先進性に魅力を感じるなら思い切って踏み切る価値がありますし、現状の延長で楽しむならFLX6-GTでも十分にDJという趣味は広がります。
ぜひ本記事の比較ポイントを参考に、自分にぴったりの一台を選んでください。
きっとどちらの機材を選んでも、それぞれの特長を活かしてDJプレイの楽しさを味わえるはずです!

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