Pioneer DJの人気エントリー向けDJコントローラー「DDJ-400」と、中級者向けミドルクラス機「DDJ-800」を比較し、それぞれの特徴や違いを詳しく解説します。
どちらもrekordbox専用コントローラーとして登場し、見た目は似たクラブ標準レイアウトを踏襲していますが、価格から機能、入出力端子に至るまで様々な点で異なります。
本記事では各項目ごとに両機種を対比し、ユーザーのレビューで指摘される良い点・惜しい点も交えながら解説します。(※Amazonレビューや価格.comの評価を参考にしています)
最後に「結局どっちがおすすめか?」として、それぞれどんな人に向いているかも提示するので、自分の用途やレベルに合ったDJコントローラー選びの参考にしてください。
価格の比較
DDJ-400はエントリーモデルだけあって新品実勢価格が約3万円前後と非常に手頃で、「実売約29,800円で、しかも単体購入16,200円相当のDJソフト(rekordbox)が付属する」というコストパフォーマンスの高さが指摘されています。
初めてのDJ機材として出費を抑えたい人にとって、ソフト込みでこの価格は「異常事態」とまで評されるほどお買い得と言えるでしょう。
一方のDDJ-800は新品実勢で9~10万円程度(発売時定価90,000円+税)と、400の約3倍の価格帯です。
初心者にとっては簡単に出せる額ではないものの、その分充実した機能と高品質な作りが備わっており、「この機能性や品質を考えるとDJ機材としてコスパは良い」という声もあります。
実際、上位モデル(例えば、各種クラブ設置のCDJや4chミキサーを揃えると数十万円規模)と比べればDDJ-800の価格は圧倒的に安く、必要十分な性能を持つ点で評価するユーザーもいます。
DDJ-400の良い点(価格)
◎初期投資が少額で済み、付属ソフト込みでコストパフォーマンス最強との評価
DDJ-400の惜しい点(価格)
▲強いて言えばプロ機材に比べ安価な分クオリティ面の限界はあるが、価格に関して大きな欠点はありません。
DDJ-800の良い点(価格)
◎機能に対する値段相応の価値があり、「価格に見合った性能でコスパが良い」という意見。
上位モデルの半額以下でプロ仕様に近い機能を得られる。
DDJ-800の惜しい点(価格)
▲エントリー機と比べると高価で、初心者にはハードルが高い。
購入前に「自分に必要な機能か」をよく検討すべきとの指摘もあります。
サイズ・重量とデザインの違い
DDJ-400(コンパクトな2chコントローラー)は、幅482×奥行272mm、高さ約59mmと非常にコンパクトで、重さも約2.1kgしかありません。
リュックや小型のバッグにも収まるサイズ感で、自宅はもちろん友人宅や小規模パーティーに気軽に持ち運ぶ用途に適しています。
実際ユーザーレビューでも「クラブ以外の色んな場所でDJをするなら持ち運びのしやすさでDDJ-400が圧倒的におすすめ」という声があり、軽量さ・取り回しやすさは大きなメリットです。
デザインは黒を基調としたプラスチック製ボディで、レイアウトはプロ機材(CDJ+DJMセット)を簡略化した構成になっています。
小型ながらジョグホイールや各種ノブ・フェーダー類がバランスよく配置されており、「実機環境とほぼ同じレイアウトのため初心者に優しい」と評価する声もあります。
コンパクトさゆえ各パーツは小さめですが、そのぶん自宅のデスク上でも場所を取らず扱いやすい設計です。
DDJ-800(本格志向の2chコントローラー)は、幅632×奥行334mm、高さ約70mmとひと回り大きく、重量も約4.7kgあります。
見た目もDDJ-400より一層「プロ仕様」に近く、中央ミキサー部のメタル調ノブや各種ボタン類の質感が向上し高級感があります。
ただしその重量については「サイズ以上に重さを感じる」「DDJ-400から乗り換えると倍以上の重さになるので持ち運びには注意が必要」との声もあり、本体のずっしりした安定感と引き換えにポータブル性は劣ります。
実際、DDJ-800本体とACアダプターをバッグに入れて持ち運ぶとなるとそこそこの負担になるため、「機能性よりその重さが気になる」というユーザーもいました。
一方で筐体が大きいぶん各操作子に余裕があり、特にピッチフェーダー(TEMPOスライダー)はDDJ-400より長く取られていて微調整がしやすい設計です。
全体レイアウトは後述するようにクラブ標準機にかなり近づけられており、視認性・操作性ともに向上しています。
「DDJ-400では物足りない部分もなくはないが、DDJ-1000ほど大きすぎず丁度いいバランスのコントローラー」という評価もあり、据え置き用途や本格的な練習用として安心感のあるサイズ・作りと言えるでしょう。
DDJ-400の良い点(サイズ・デザイン)
◎軽量コンパクトで持ち運びやすく省スペースで設置可能。
シンプルながらプロ機材のエッセンスを取り入れたレイアウトで初心者でも操作を覚えやすい。
DDJ-400の惜しい点(サイズ・デザイン)
▲小型ゆえ各操作部がやや狭く、ジョグやピッチフェーダーも小さいため本格的なスクラッチや微調整には物足りなさを感じる場合がある。
プラスチック筐体の質感にチープさを指摘する声も一部あり。
DDJ-800の良い点(サイズ・デザイン)
◎サイズに余裕があり各種操作がしやすい。
ジョグも大きく(直径約15.3cm)視認性良好で、ピッチフェーダーも長く精密な操作が可能。
重厚な造りで安定感・高級感がある。
DDJ-800の惜しい点(サイズ・デザイン)
▲本体重量が約4.7kgと重く、持ち運びには気を遣う(バス/電車移動には不向き)。
サイズもDDJ-400に比べ大型なため設置スペースに余裕が必要。
機能・操作性の比較
チャンネル数とミキサー機能
両機種とも2チャンネル仕様ですが、DDJ-800はハードウェア上で2chミキサー機能が強化されています。
DDJ-400には外部入力がマイク以外なくPCソフト上の2デッキ操作に特化しているのに対し、DDJ-800は2系統の外部音源入力(ライン/フォノ)に対応し、PCを介さずスタンドアロン・ミキサー的に使うことも可能です。
例えばDDJ-800ではアナログターンテーブルやCDJを接続してミキサー部だけを使うこともでき、rekordbox接続時にはそれら外部音源にソフトのエフェクトをかける「Audio Mixer機能」も備わっています。
一方DDJ-400は外部入力を持たないため、接続したPC内の楽曲をプレイする専用コントローラーという位置付けです。
ただし両機とも2デッキ操作が基本ではありますが、DDJ-800はソフト上で4デッキに切り替えて操作可能(Deck 3/4を切り替え操作)となっており拡張性があります。
総じて、現場で他機器と組み合わせた使い方や拡張的なDJプレイをしたい場合はDDJ-800の方が余裕があり、DDJ-400はシンプルにノートPC内の2デッキミックスに集中するスタイルと言えます。
ジョグホイールとディスプレイ
ジョグホイール(スクラッチやピッチ調整に使う円盤)の大きさはDDJ-400が直径約13.2cm、DDJ-800は約15.3cmで、一回りDDJ-800の方が大きく操作しやすくなっています。
さらにDDJ-800のジョグ中央にはフルカラー液晶ディスプレイが搭載されており、再生中の曲の波形やBPM、再生位置、Hot Cueポイントなどをジョグ上で確認できます。
これにより視線を極力PC画面から離してプレイに集中でき、「ジョグディスプレイのおかげで手元で必要情報を把握できてDJがかなりやりやすい」と好評です。
一方DDJ-400にはジョグに表示機能はなく、ステータス確認はPC画面か本体の小さなインジケーター類のみとなります。
しかしジョグの質そのものはDDJ-400でも十分滑らかで、「低レイテンシーでしっかり反応するので初心者の練習用には必要十分」「サイズ以外は上位機種と遜色ない」という評価もあります(※実際の耐久性や精度は上位機に劣る可能性があります)。
またDDJ-800にはジョグの回転抵抗を調節できる「Feeling Adjust」ノブが搭載され、自分好みの重さ・軽さに設定できるのも特徴です。
DDJ-400にはこの調整機能はありません。
パッドやループ機能
両モデルとも各デッキに8つの大型パフォーマンスパッドを備え、Hot Cue、Beat Loop、Beat Jump、Sampler、Keyboard、Pad FXなど計8種類のパッドモードに対応しています。
機能的にはDDJ-400でも上位機種同様にほぼ全てのパフォーマンス機能が使え、実際「エントリー機なのに必要な機能が全部揃っていて驚く」という声も多いです。
違いとしては、DDJ-800では各デッキにつき最大16個のHot Cueに対応(パッドのPAGE切替で1~8と9~16を操作)しており、より多くのキューポイントを駆使したプレイが可能です。
一方DDJ-400はHot Cueは各デッキ8点までとなります。
またループ操作について、DDJ-800は手動ループ用の独立ボタンがありCDJに近い操作感ですが、DDJ-400はシフト操作などで対応するため若干簡略化されています。
それでも基本的なオートループ機能などは両機種とも備えており、初心者レベルであればDDJ-400でも遜色なくループプレイを楽しめます。
その他機能
DDJ-800にはマイク使用時のハウリング(フィードバックノイズ)を自動軽減する「Feedback Reducer」機能が搭載されています。
これによりMCやゲストスピーカーにマイクを渡しても安心感が高く、特にレゲエの司会(サウンドマン)用途などでも重宝するとされています。
またDDJ-800はマイク入力が2系統あり(コンボ端子XLR/TRSと標準フォンの2つ)同時使用も可能なのに対し、DDJ-400のマイク入力は標準フォン×1系統のみです。
マイク周りでは、DDJ-800は「AUTOMATIC MIC TALKOVER(マイク使用時に音楽音量を自動で下げる機能)」を備えますが、DDJ-400にはトークオーバー機能はありません。
ただしDDJ-400もマイク音質自体はクリアにチューニングされており「高い入力レベルでも歪まない工夫」がなされています。
DDJ-400の良い点(機能)
◎エントリー機ながらプロ機材に迫る豊富な機能を搭載し、初心者~中級者の日常的なDJプレイに不足がない。
チュートリアル機能対応でDJの基礎を学びながら使える点も◎(後述)。
DDJ-400の惜しい点(機能)
▲外部入力がなく拡張性に欠ける。
物理的なボタン数が少ない部分はソフト操作に頼る必要があり、エフェクト選択やループ長細かな設定など一部操作でPC画面を見る手間がある。
DDJ-800の良い点(機能)
◎ジョグディスプレイや専用エフェクトツマミなどクラブ機材同等の操作子を装備し、上級機種に近いプレイ感を得られる。
外部入力・2マイク対応で応用範囲が広く、将来的な発展にも対応。フィードバックリデューサー等ユニークな機能も搭載。
DDJ-800の惜しい点(機能)
▲追加機能が多いぶん最初は操作を覚える量が多く初心者にはやや複雑に感じる可能性。
4ch機ではないため「将来4デッキ使いたい」というニーズにはそのままでは応えられない(※ただし2chで4デッキ操作自体は可能)。
対応ソフトウェアの違い
公式対応ソフト
両機種とも基本的にはPioneer純正のDJソフトウェア「rekordbox dj」に対応しています(接続するだけでソフトをハードウェアアンロック可能)。
DDJ-400は発売当初rekordbox djのライセンスキーが付属しており、現在も接続するだけでrekordboxのパフォーマンス機能が使えます。
一方DDJ-800もrekordbox専用機で、ライセンス付属またはハードウェアアンロックにより利用できます。
rekordboxにおける両者の差として、DDJ-800は上位プランであるrekordbox Coreプラン以上に加入すればアナログレコードのタイムコードを使ったDVS(Digital Vinyl System)にも対応します。
つまりターンテーブルでタイムコードVINYLを再生し、DDJ-800経由でソフト上のデッキを操作することも可能です(2デッキ分対応)。
DDJ-400はハード的にDVS非対応なのでこの点は大きな違いです。
他ソフトとの互換性
rekordbox以外のソフトについて、DDJ-400は発売からしばらくしてSerato DJ Lite/Proでも公式対応するようになりました。
2020年以降のアップデートで、DDJ-400を接続するとSerato DJ Liteがハードウェアアンロックされ、必要に応じて有料のSerato DJ Proにアップグレード可能です。
そのため現在ではDDJ-400一台でrekordboxとSeratoの両方を使える柔軟性があります(※ただしSerato用に最適化されたレイアウトではない点は注意)。
DDJ-800についてはSerato公式対応はされていません。
第三者ソフトではVirtual DJやAlgoriddim社のdjayなどが挙げられ、特にDDJ-400はiOS版djay Proにも対応し、TIDALやBeatport LINKなどのストリーミング楽曲を用いたプレイも可能です。
DDJ-800もMIDIマッピング次第でVirtual DJなどを使用できますが、公式にはrekordbox専用機と位置づけられています。
チュートリアル機能
ソフトウェア面でもう一つ特筆すべきは、DDJ-400がrekordbox内のチュートリアル機能に対応している点です。
rekordbox djに搭載された初心者向けガイド機能で、DDJ-400を接続すると画面上に「セットアップ編」「ミックス編」「パフォーマンス編」など段階別の解説が表示され、操作方法を実践しながら学べます。
これはDJを全く触ったことがない入門者に非常に好評で、「丁寧で親切なチュートリアルで基本操作からノウハウを身につけられる」と評価されています。
DDJ-800には特別なチュートリアル連動機能はありませんが、基本操作自体はDDJ-400と共通する部分も多く、DDJ-400用のオンライン講座なども十分参考にできます。
DDJ-400の良い点(対応ソフト)
◎rekordboxをすぐ使えるうえ、Seratoやdjayアプリでも遊べる柔軟性がある。
初心者向けチュートリアルで基礎を学びながら上達できる点も大きなメリット。
DDJ-400の惜しい点(対応ソフト)
▲基本的にPC/Macが必要(単独では音を出せない)。
Serato対応は後付けのためパッドモード表記など一部対応しない印字があるなど、あくまでrekordbox主体の設計。
DDJ-800の良い点(対応ソフト)
◎rekordboxに完全対応し、DVS機能まで使える拡張性。
プロ志向ならrekordbox一本で不足は感じにくい。
DDJ-800の惜しい点(対応ソフト)
▲Serato DJや他ソフトを使いたい人には不向き(非対応)。
iOSデバイスとの連携も想定外で、基本的にノートPCとrekordboxをセットで使う用途に限られる。
入出力端子の比較
オーディオ出力
接続端子にも大きな違いがあります。
DDJ-400のマスター出力はRCAアンバランス端子×1系統のみで、主に家庭用オーディオや簡易PA向けです。
一方DDJ-800はXLRバランス出力とRCA出力の2系統のマスターアウトを備え、クラブや大型PAシステムにも耐えうる高出力・低ノイズでの接続が可能です。
加えてDDJ-800はブース出力(1/4インチTRS×1系統)も搭載し、DJブース内モニタースピーカーへの出力調整も独立して行えます。
DDJ-400にはブースアウトが無いため、例えば大音量イベントで自分用にモニターを置く場合などは出力分配に工夫が必要です。
音声入力
前述の通り、DDJ-800はライン入力(RCA)×2系統とフォノ入力×2系統を備え、外部プレーヤーからの音声をミキサーに取り込めます。
フォノ入力があるためアナログレコードの直接再生やDVSタイムコードにも対応します。
DDJ-400には外部音源入力は無く、入力はマイク(1/4インチ標準ジャック)×1のみです。
またマイク入力に関してもDDJ-800はXLRコンボ入力+1/4インチTRSの2系統あり、イベントで複数マイクを使う場面にも対応できます。
DDJ-400のマイクは1系統でステレオ出力とミックスされる仕組みです。なおヘッドホン端子は両機種とも搭載していますが、DDJ-800は標準(6.3mm)とミニ(3.5mm)の2サイズに対応し、どちらのプラグのヘッドホンでも直接挿せるようになっています。
電源方式
DDJ-400はUSBバスパワー駆動で、PCとUSBケーブル1本で接続すれば別途電源不要で動作します 。
対してDDJ-800は本格的なオーディオ回路を備える関係上、ACアダプターでの給電が必要です。
「電源アダプターの携行がやや面倒」「設置時の配線が一つ増える」といった点はDDJ-800の惜しい点ですが、その分大音量出力時の安定性や音質面で有利と言えます。
以上のように、端子・電源周りではDDJ-800がイベント志向・拡張志向の設計となっており、DDJ-400はシンプルで最低限の入出力に留まります。
自宅練習~小規模パーティー程度ならDDJ-400でも問題ありませんが、本格的なPA環境や外部機器併用を考える場合はDDJ-800の充実した入出力が安心です。
エフェクト機能の比較
Beat FX(ビートエフェクト)の違い
Pioneer製DJミキサーでお馴染みのBeat FX機能は、DDJ-800では専用のエフェクトユニットとして搭載されています。
ミキサー右側にエフェクト選択ノブと表示パネルがあり、エコーやリバーブなど計14種類ものBeat FXをワンタッチで適用できます。
これは上位機種DDJ-1000と同じ数のエフェクトで、「エフェクトの種類が多く遊べる幅が広いのもDDJ-800の魅力の一つ」と評されています。
対するDDJ-400にもソフトウェア上のBeat FXは存在しますが、ハードウェアには専用の表示や豊富な選択子はありません。
DDJ-400では基本的に予め決めたエフェクトを各デッキごとにON/OFFしたり、PC画面上で種類を変更する形になります。
そのため「DDJ-400ではボタンを押してPC画面を見ないとエフェクトの種類を選べないが…」という指摘もあり、エフェクト操作性ではDDJ-800に軍配が上がります。
ただDDJ-400にも一応デッキ毎に簡易的なエフェクトボタンはあり、初心者が基本的なエコーやループエフェクトを楽しむ程度であれば十分でしょう。
「Beat FX自体はDDJ-400でも楽曲のテンポに同期したプロ品質のエフェクトを使える」と公式も謳っており、性能面で劣るわけではありません。
サウンドカラーFXの違い
Sound Color FXとは各チャンネルの音にかけるフィルター/エフェクト類ですが、DDJ-800では4種類(Dub Echo、Filter、Noise、Pitch)から選択してノブ操作できます。
対してDDJ-400には各チャンネルに[Filter]ノブが1つずつあるのみで、基本的にフィルターエフェクト(ローパス/ハイパス)専用となっています。
プロ用ミキサーDJM-900NXS2では6種類のColor FXがありますが、DDJ-800はそれを簡略化しつつ複数のエフェクトに対応する点で上位機種に近づけています。
実際DDJ-800では本体中央にある[COLOR]ボタンで4種の中からエフェクトタイプを選べ(例えば、Noiseを選べばノブ操作でノイズ音をミックス可能)、演奏に厚みを加えられます。
DDJ-400では標準ではFilter固定ですが、ソフト側の設定で別エフェクトに切り替えることも可能です(とはいえ都度設定変更が必要になるため実用的にはFilterノブとして使うケースがほとんどでしょう)。
総じてエフェクト類は、種類や操作性はDDJ-800が充実しています。
ただし初心者目線ではDDJ-400でも最低限のエフェクトは一通り揃っているため、「まずはシンプルに基本エフェクトを使いこなしたい」という段階なら不満は少ないでしょう。
DDJ-400の良い点(エフェクト)
◎Rekordbox標準のエコーやリバーブ等ひと通りのエフェクトが使用可能で、初心者の創作的なプレイにも対応。
余計な機能が少なく直感的に扱いやすい。
DDJ-400の惜しい点(エフェクト)
▲エフェクトの種類切替や詳細調整はPC画面に頼る必要があり、演奏中の操作性は限定的。
Sound Color FXがフィルターのみで表現の幅が狭い。
DDJ-800の良い点(エフェクト)
◎専用ディスプレイ付きのBeat FXユニットを搭載し、14種ものエフェクトを即座に選択・適用可能。
Sound Color FXも4種類あり、フィルター以外の効果音もミックスできる。
豊富なエフェクトにより創造的なDJプレイの幅が広がる。
DDJ-800の惜しい点(エフェクト)
▲エフェクト機能が多彩な分、初心者には最初は使いこなしに慣れが必要かもしれない。
エフェクトユニットや表示の分だけ本体サイズ・価格が上がっている側面もある。
音質の違い
最後に音質についてです。
スペック上は、DDJ-400とDDJ-800はいずれも24bit/44.1kHzのUSBオーディオインターフェースを内蔵しています。
しかしSN比(シグナル・ノイズ比)はDDJ-400が103dBであるのに対し、DDJ-800は111dBとより高く、また全高調波歪率もDDJ-800の方がわずかに優秀です 。
実際に出音を比較すると、ユーザーの間では「DDJ-400などの入門機はクラブで使うことを考えると音が悪い」との指摘もあり、特に低音の太さやメロディラインのクリアさに差があるとされています。
あるレビューでは「DDJ-400(および同等のDDJ-RBやSBシリーズ)は音が細く、DDJ-800では価格相応に情報量の多い良い音が出せることを確認した」と述べられています。
つまりDDJ-800は内部回路やDAC性能の向上により、出音のクリアさ・迫力で一歩リードしているようです。
ただしこれは高出力の会場や高級サウンドシステムで違いが顕著になる部分でもあり、家庭用スピーカーで小音量でプレイする範囲では両者の差は感じにくいかもしれません。
実際、普通に自宅で練習したり録音したりする用途であれば「DDJ-400でも十分良い音質」と感じているユーザーも多いです。
一方で大音量環境では、DDJ-800のバランス出力から出る力強い音やレンジの広さが安心感に繋がるでしょう。
またヘッドホン出力やマイク入力の音質面でも、DDJ-800はよりクリアで歪みにくい設計となっていると考えられます(マイクは前述のフィードバック低減機能も含めて)。
総合すると、「大音量の現場で鳴らすならDDJ-800の方が余裕があるが、日常用途ではDDJ-400でも問題ない」というのが多くのユーザーの意見のようです。
結局どっちがおすすめ?
以上の比較を踏まえて、最終的にDDJ-400とDDJ-800のどちらを選ぶべきかを整理します。
それぞれの特徴から考えて、「こんな人にはDDJ-400」「こんな人にはDDJ-800」が向いているというポイントをまとめました。
DDJ-400はこんな人におすすめ
- DJをこれから始める超初心者
まずは低コストで基本を学びたい人。
チュートリアル機能でDJの基礎を習得しながらステップアップできます。 - 自宅練習用・ライトユーザー
自宅や友人同士の小規模パーティーで気軽にDJを楽しみたい人。
コンパクトで騒音も比較的抑えやすく、場所を取らず扱いやすい。 - 持ち運んで遊びたい人
クラブというより宅飲みやイベントで手軽に機材を持ち寄りたい人。
重量が軽くUSBバス電源で動くため、外出先でのセットアップも簡単です。 - 予算が限られている初心者
まずは数万円の機材から始め、必要に応じて将来グレードアップを検討したい人。
「とりあえずDDJ-400でDJに触れてみる」には最適です。
DDJ-800はこんな人におすすめ
- ある程度DJ経験がある中級者以上
基本操作を習得済みで、本格的な機能でスキルを磨きたい人。
ジョグディスプレイや豊富なエフェクトで高度なプレイに挑戦できます。 - 将来クラブDJやイベント出演を目指す人
クラブ標準機に近い操作系で練習したい人。
外部入出力も充実しているので、他機材との連携や現場でのセッティングも安心です。 - 音質や出力面を重視する人
大音量のパーティーやプロ志向のサウンドクオリティを求める人。
バランス出力による高音質や2系統マイク対応で本格的な現場にも対応できます。 - 長く使える機材に投資したい人
多少予算に余裕があり、エントリー機からすぐ買い替えるより腰を据えて使えるコントローラーが欲しい人。
DDJ-800なら機能不足による物足りなさが出にくく、成長に合わせて使い倒せます。
両機種とも優れたDJコントローラーですが、簡単に言えば「手軽さ・入門のしやすさ」を取るならDDJ-400、「本格さ・拡張性」を求めるならDDJ-800が適しています。
例えば、「趣味で家でDJを楽しみたい大学生」には安価で扱いやすいDDJ-400がフィットしそうですし、「将来クラブでDJデビューしたい!」という意気込みのある人にはDDJ-800が強い武器になるでしょう。
実際のユーザー評価でも、DDJ-400はその手軽さ・コスパの良さが多く挙げられ、DDJ-800は機能充実による満足度の高さが称賛されています。
ただし高価な機材ほど宝の持ち腐れにならないよう、自分の目的に合った選択が大切です。
「せっかく高いお金を出したのに、買ってから『こんなはずじゃなかった…』と後悔しないように」とのアドバイスもあります。
比較表(DDJ-400:DDJ-800)
比較項目 | DDJ-400![]() |
DDJ-800![]() |
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価格 | 約¥33,000(税込) | 約¥100,000(税込) |
サイズと重量 | 482×272×59 mm / 2.1 kg | 632×335×70 mm / 4.7 kg |
機能 | 2チャンネル (デッキ2台制御) 小型ジョグホイール パフォーマンスパッド8基/デッキ |
2チャンネル (4デッキ切替対応) 大型ジョグホイール (中心にLCDディスプレイ搭載・重さ調整可) パフォーマンスパッド8基/デッキ |
エフェクト機能 | Beat FX搭載 (ソフトウェアエフェクトを使用) Sound Color FXはフィルターのみ |
Beat FX搭載 (専用エフェクトユニットで多彩なエフェクト利用可) Sound Color FXは4種類 (Dub Echo/Filter/Noise/Pitch) |
入出力端子 | マスター出力 RCA マイク入力×1(標準ジャック) ヘッドホン端子(3.5mm) ライン/フォノ入力なし |
マスター出力2系統 (XLR, RCA) ブース出力 (TRS) マイク入力×2 (コンボXLR+TRS, 1/4″ TRS) ライン/フォノ入力×2 (RCA) ヘッドホン端子 (1/4″ & 3.5mm) |
電源方式 | USBバスパワー駆動 (PCより給電) | ACアダプターによる外部電源供給 |
音質 | 24bit/44.1kHz対応オーディオ S/N比 103dBで、入門機として必要十分な音質 |
24bit/44.1kHz対応オーディオ S/N比 111dBと高く、クリアでパワフルなサウンド(音質評価も良好) |
対応ソフトウェア | rekordbox dj(ライセンス付属)◯ Serato DJ × djay(Algoriddim)◯ VirtualDJ ◯(要ライセンス) |
rekordbox dj(ライセンス付属)◯ Serato DJ × djay ◯ VirtualDJ ◯(要ライセンス) |
初心者向け機能 | rekordbox内のチュートリアル機能に対応しており、接続や基本操作を学びやすい(初心者に優しい) | チュートリアル機能非対応(初心者向けサポートなし。中級者以上向けの設計) |
持ち運びやすさ・デザイン | 軽量コンパクトなボディで持ち運び容易。 クラブ機器に近いレイアウトのシンプルなデザイン |
プロ機材譲りのレイアウト(ジョグ中央に液晶ディスプレイ搭載) DDJ-400より大型・4.7kgと重めだが、このクラスでは比較的軽量で持ち運び可能 |
本記事の比較ポイントを参考に、ぜひあなたにピッタリの1台を選んでください。
DJライフのスタートや次なるステップアップに役立てば幸いです。
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